1210年|4月 5月

2019年06月26日

精進屋に入る

承元4年4月17日、甲戌(きのえいぬ、こうじゅつ)。今日、修明門院が院号の宣下を受けて後、初めて熊野御幸があり、よって精進屋に入御の日である。天は晴れ、風は静か。権現冥助之先表以之知るべし。

七条院(※藤原殖子。後鳥羽天皇の母※)は七条坊城御所為其所〔侍所為庁、南殿為御先達(長厳)御所〕、上皇(後鳥羽上皇)の毎度の精進屋はここである。布設・掃除以下、前もってその指図がある。
抑依鳥羽・後白河2代の嘉 、上皇あるべし[     ]仰せ下す所。さる12日坊門院〔(※範子内親王※)上皇の御姉、主上(※土御門天皇※)の准母后。〕、頓以帰□(寂か)。[  ]御軽服日数その憚りがある。よって於御幸者延引。来月遂げられるとのこと。日時が決定した。


権右中弁(葉室)宗行朝臣が早朝に図書頭(賀茂)在親朝臣を召して日時を考えさせ、箱に入れて、これを奏上する。
次に御浴。次に御精進屋に入御。
これに先立ち予は潔斎、浄衣〔立烏帽子、公卿・殿上人以下、小袴・浄衣を着るべしとのことを仰せ下される。予らはその命令を守った〕を着る。
あかりを灯すころに、精進屋に参御。
これに先立ち、人々は参会。
数刻の後、入御〔庇御車で〕がある。
門の下において御牛を解き放つ。

先駆けの人々。源大納言(久我通光)・東宮大夫(大炊御門師経)以下、門外に列ぶ。内官〔直衣〕が参入。
前もって御車寄せを設ける。

権弁は門内において入御の間に雑人を去らせる〔小袴・浄衣・三目所を着るのだ〕。
御車を庁官らが引き入れる間に、権弁は松明を取って先に行く。参詣しない者・公卿・殿上人は門内に入らないのがしきたりである。
夜の間は階と左右に常灯を供える〔在打板〕。内府(徳大寺公継)が御車を寄せられる間、宗行朝臣を召し、相ともに打板以下所装也。
この間、参詣者・公卿・殿上人は列んでいる。

次に下御の後、御車を引き出す〔門外にいて指図がある〕。源中納言雅親卿の宿所に立てられた。御精進屋の内では御車は立てられない。これはしきたりである。
次に庁官らが監臨、犬禦を立てる〔坊城面両門、南面小門、北面小門などである。坊城面を御所にするためである〕。

まず御禊装束を供える。御拝仮屋三面懸亘伊予簾(南面御階以西砌の下にこの仮屋はある)。その中に□筵2枚を供え、その上に高麗半帖を供える。その北に膝突〔円座〕を敷き、陰陽師の座にする。
八足前 居御注連長○(※木へんに長※)〔庁官2人がこれを役する〕
次に出御。次に御贖物を供える。陪膳は源宰相中将(有経)〔先々四位の殿上人がこれを勤めるが、別に御定があり、卿がこれを勤める〕が役する〔左少将(一条)信能朝臣、権右中弁宗行朝臣〕。この間、御先達〔大僧正長厳〕・公卿らは人形。上北面散位(藤原)信経がこれを賦(くば)る〔先々六位が勤めるのだ。この度はかくのごとし。如何〕。今殿上人・上北面分は、庁官1人でこれを賦る。
これに先立ち陰陽権助(安部)晴光朝臣が〔長袴で〕座に着く。御禊が終わって、大麻を進める。信能朝臣が進み寄ってこれを取り、源宰相中将に伝える。中将が簾の中に進み入る。
次に御贖物を取り下げる。役人は初めてのようだ。この間、公卿・殿上人以下中門の辺に列んでいる。床子(※しょうじ。腰掛け※)を用いる者もあり、敷皮を用いる者もある。この間、庁官1人が南庭に居る。松明を燃やす。


次に権弁が御幣を取って〔庭の中でこれを取る。庁官がこれを伝える〕、御先達に献じる。御先達は南に向いて勧請〔この間、庁官が御花米を置く〕。々々が終わって小先達・宰相律師が幣を給い、南庭ナギの柴垣の上に立てる。

次に御注連を引く。波介札をなどを立てる。御先達がこれを行なう。
御拝屋の御注連は上北面大隈守(藤原)康業・左馬権頭(藤原)直綱らが進み出て、これを引く。御所にするためである〔先崎は侍がこれを引くか〕。余りの所々から庁官・召使らがこれを引く。

次に取り下げる半帖筵1枚上敷御皮〔殿上人がこれを致す〕。御拝の所あるべし。今度、御障の間、御拝座無出御。御浴の後、注連を引く。御所に御座。御拝はなしとのこと。よってこの儀式はなし。

次に夕御膳を供える〔朱漆御盤・基埦御器〕。まずご御飯上分を取り、食棚の上に置き施す〔番衆の役である。この棚は南庭のナギの柴垣の上にこれを立てる。前もって所立設けるのだ〕。公卿・殿上人・上北面食事進物所がこれを設ける。よってこれを行なって宿所に退出。
精進を始める。先達がこれを行なう。夕方、所作が終わって御所に帰参。宿でお仕えする。
posted by 藤原頼資&てつ at 01:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
 
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